墓じまいとは(増えている背景)
墓じまいとは、現在のお墓を解体・撤去して墓地の区画を管理者に返還し、取り出した遺骨を別の場所へ移して供養することです。遺骨を移すこと自体は「改葬(かいそう)」と呼ばれ、役所の許可が必要になります。
少子化や核家族化、地方の実家を離れて暮らす人の増加により、「お墓を継ぐ人がいない」「遠方で年に何度もお参り・管理ができない」という事情が広がっています。実家じまいと同じタイミングで、お墓も整理するケースが増えているのが背景です。
墓じまいの費用の相場と内訳
墓じまいの費用は、大きく「①今のお墓を撤去する費用」と「②新しい供養先の費用」に分かれます。①の目安は次のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・整地 | 10〜30万円 | 石材店による解体・撤去・区画の整地。広さで変動(1㎡あたり10〜15万円が目安) |
| 離檀料(お布施) | 数万〜十数万円 | 寺院墓地の場合のお礼。金額に決まりはない |
| 閉眼供養(魂抜き) | 1〜5万円 | 遺骨を取り出す前の法要のお布施 |
| 改葬の行政手続き | 無料〜数千円 | 改葬許可申請の手数料(自治体による) |
①の合計は、おおむね30〜100万円が目安です。これに②新しい供養先の費用(後述/10〜150万円程度)が加わります。区画が大きい、墓石が複数ある、重機が入りにくい立地、といった条件で撤去費は上がります。
墓じまいの流れ(7ステップ)
家族・親族で相談し、合意する
後のトラブルを避けるため、最初に親族の同意を得ます。費用負担や供養の方針も話し合っておきます。
新しい供養先を決める
永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養など、遺骨の移し先を先に決めます(許可申請に受入先の証明が必要なため)。
今の墓地の管理者に相談する
寺院・霊園に墓じまい(離檀)の意向を伝え、必要書類や手順を確認します。早めに丁寧に伝えるのが円満のコツです。
改葬許可の手続きをする
受入証明書・埋葬(埋蔵)証明書を用意し、墓地のある市区町村に改葬許可を申請。改葬許可証を受け取ります(詳細は次章)。
閉眼供養と遺骨の取り出し
僧侶に閉眼供養(魂抜き)を依頼し、遺骨を取り出します。
墓石の撤去・区画の返還
石材店が墓石を解体・撤去し、区画を整地して管理者に返還します。
新しい供養先へ納骨する
改葬許可証を提出し、新しい供養先へ納骨します(開眼供養などを行う場合も)。
改葬の手続きと必要書類
遺骨を移す「改葬」には、墓地のある市区町村が発行する改葬許可証が必要です。一般的に、次の3点をそろえて申請します。
- 改葬許可申請書:墓地のある市区町村役場で入手・記入
- 埋葬(埋蔵)証明書:現在の墓地の管理者が発行
- 受入証明書(使用許可証):新しい供養先が発行
新しい供養先の選択肢
取り出した遺骨の移し先には、次のような選択肢があります。費用は供養先・地域により幅があります。
| 供養先 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 永代供養墓 | 10〜100万円 | 寺院・霊園が管理・供養。継ぐ人がいなくても安心 |
| 納骨堂 | 20〜150万円 | 屋内で天候に左右されない。都市部に多い |
| 樹木葬 | 20〜80万円 | 樹木や花を墓標に。自然志向の方に人気 |
| 散骨 | 5〜30万円 | 海洋散骨など。ルール・マナーの確認が必要 |
| 手元供養 | 数万円〜 | 遺骨の一部を自宅で保管。他の方法と併用も |
よくあるトラブルと回避法
① 親族の合意が取れずにもめる
「勝手に決めた」と後で対立しがちです。最初の段階で、墓じまいの理由・費用・新しい供養先まで含めて親族と共有し、合意しておきましょう。
② 離檀料を高額に請求される
離檀料には決まった金額がなく、まれに高額を求められるケースがあります。早めに、感謝を伝えながら丁寧に相談し、やり取りは書面でも残すのが円満解決のコツです。当社では寺院との交渉の窓口もお引き受けします。
③ 許可を取らずに遺骨を移してしまう
改葬許可証なしで遺骨を移動するのは法律違反になり得ます。必ず正規の手続きを踏みましょう。
④ 新しい供養先を決めずに進める
受入先の証明がないと改葬許可が下りません。供養先は早めに決めておく必要があります。